「お前……」

何か言いかけた相手を無視して、壊れた眼鏡を差し出したモモは、最後にもう一度、謝罪の言葉を繰り返し、入学式の開始を告げる教師の声に救われた思いで、あたふたとその場から逃げ出した。

(どうしよう、どうしよう、どうしよう……)

バクバクする胸を押さえて椅子に座っている間も入学式は粛々と進行し、在校生代表の祝辞に続いて、新入生代表による答辞が始まった。

壇上に立ち、よく通る声で淡々と答辞を述べる生徒を仰ぎ見て、モモの心臓はぴょんと極限まで跳ね上がる。