…は?…フリンって…
あの不倫?
「驚くよね…私、妻子ある人と付き合ってたんだよ…」
沙織……だから誰にも話さなかったの…?
「私さ…本気だったんだ。でも向こうは違ったんだよね…2人の時は私だけだよなんて言ってた癖にさ……見ちゃったんだ…
お腹の大きな奥さんと手繋いで、子供肩車してベビー服を選んでたの…
幸せそうな顔してさ」
「…沙織」
「私わかっちゃったんだよ。奥さんが妊娠したから私で欲を埋めていただけ…って…
こんなヤツと半年も関係続けちゃって馬鹿だよね私」
「…今は…その…」
「終わりにした。つうか振ってやったし」
そう言って空を見上げた沙織が心の中で泣いている気がして…
何も知らないで…
ずっと沙織の傍にいたのに…
「…ごめん…」
沙織に抱きつこうとしたら突然声が聞こえて。
「なら…俺にもう一回チャンスくれない?」
ってこの声…
ゆっくり振り返ると。
真剣な顔した卓君が居た。
後ろの入り口には陵弥が寄り掛かっていた。