授業中だけあって誰に会う訳もなく。




ひたすら走って階段を駆け降りた。




気付くと頬に涙が…




中庭に行くと私に気付いた陵弥が立ち上がる。



涙で滲む陵弥の影に。




私は一気に飛び込んだ。





「っ…ぅわぁッ」




その瞬間、バランスを崩し、陵弥は私を抱き抱えたまま尻餅を着いて。




「…ったく。痛ぇーよ」




って呟いた。





私は陵弥の上着をギュッと掴んで胸に顔を埋めた。





「凜花…どうした?」





…凜花…


初めて名前呼んだし…



それだけで溢れる涙を止められない…




そもそもこの私が、男の前で泣くなんて初めてで。




自分でもどうしていいのかわからないよ…







小さく震える肩に手を掛けて私の身体を離すと陵弥が。





「…何で泣く…」




私の頬に伝う涙を親指で拭って。





私の唇に軽くキスを落とすと。





「俺んち行くか…」





そう言うとポンと頭に手を置いた。