「実は、好きな人出来てたんだけど中々言えなくってさぁ~。仕方なく付き合ってたって感じだったわけ。けど、ついこの間その人に告白されてぇ‥」
何、言ってんだよ‥こいつ。
「まぁ、壱には悪いと思ったんだけどね?OKしちゃった」
そう言って
アハハ、と笑う沙耶。
信じらんねぇ。
こんな女を信じてたのか、と思うと
無償に虚しくなって
ばかばかしくなってきた。
「あぁ、そうかよ。じゃあ、そいつとお幸せにな。」
俺はそう言って
ドアに手をかけた。
そして
一度後ろを振り返って‥
「後さ、丁度俺も別れたいと思ってたから助かったわ。ありがとな」
そう言って
ドアを静かに閉めた。
別れたいなんて
本当は思ってなかった。
けど
最後に嫌味の一言は
言ってやりたかった。
もう、何もする気がしなくて
俺はそのまま家に帰った。

