「あたしは‥T高が良いんだけどね」




そう言って
ニコッと笑った、沙耶。




沙耶はどちらかと言うと
あんまり頭は良くないほうだ。



けど、T高は
普通科ではなく商業科だから
まぁ、沙耶ぐらいのレベルの奴は
大抵そこを受けるだろう。





そんなに
レベルの高くない、T高。
でも、俺は受かるかどうか
危ういところ。





「多分、俺L高行くわ。」




それだけ言って
俺はまた目を閉じた。




L高とは
俺達の地域から
かなり離れた高校。



そこも商業科だし
レベルはT高よりも
はるかに低い。




L高なんて
不良のそこでなしみたいなのが
うじゃうじゃ集まってて
ケバイ女しか居ねーって
聞いたことあるけど


高校行かねぇで
ニートするよかマシだろ?




俺がそんな考えだったから
駄目だったのか?






「‥‥‥‥ん」





少し目を開けると
そこに沙耶の姿はなかった。




なぁ‥







高校なんか違っても
俺等の中は崩れない。



揺らがないって。



そう思ってたのは
俺だけだったのかな。