消えいく想い

「えー、マジで忘れちゃったの?ポエムの交換とかしたじゃない!」


「あ、あー!俺の汚点のことか」


今まで忘れてた。そういや中学生のときそんなことしてたな。


「それはそれでひどっ!」


「いたなぁ。白戸だろ?思い出した思い出した」


確か名前は白戸美香(しらど みか)。
隣の席に座ってたあまり目立たない女だったと思う。
顔のことは覚えてない。
俺って人のこと覚えるの苦手なんだよね。


「で、何の用だよ」


二年間も一切連絡なかったのに唐突に何なのかね。


「んーとね。昔の日記読んでたらさ。アキのこと思い出してね?ポエム交換のやつも見つかってー」


「即刻捨ててくれ」


それは俺の汚点だ。
アイツにばれたら絶対馬鹿にされる。
そのためにも証拠隠滅は不可欠だ。


「ん、捨ててもいいけどー?その代わりね。久しぶりに会わない?」


いきなり脅しとはこの女――
とまぁ、冗談はここまでにしてだ。
とりあえず俺も久しぶりだし、面白そうだから会ってみるか。


「いいぜ。暇だし、付き合ってやるよ」


この時の俺は馬鹿だったと思う。
今思えばこの時会わなきゃこんなに苦しむこともなかったのにな。