指切りげんまん

食堂に移動しても、誰も口を開こうとしなかった。


当たり前だ。
二度も虐殺が起こった村だと言っても
親しい人間が殺される情景を見るのは辛いだろう。

組織の人間を除いて。


「一体どうなるんだ…!」

静かな室内に中年の医者の声が響く。
頭を抱え悩む彼に声をかける者はいない。

ここにいる者全員が同じ状況に立たされている。

所詮、一番自分が可愛いんだ。
人間なんて、そんな生き物。


風が廊下の窓を叩く。
否、それとも異形なのか。

判別はつかない



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