懐かしい夢を見た。

現われたあの人は綺麗な姿で。
当たり前なのだけど、嬉しくて悲しくて思わず抱き付いた。


あたしとなんら変わらない体温。
お揃いに、と珍しく2人で買った香水の香りがした。

「…奏、早く組織を抜けろ」

「誰のせいで組織に入ったと思ってるんだ!」

抱き締め返された腕、あたしの名前を呼ぶ声。
何もかもが懐かしい。

「俺のせいだな」

「そうだよ、お前が組織に関わって死ぬから…!」

頭を軽く叩いて子供扱いする癖も、あの頃のまま。



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