断末魔の悲鳴を聞いた気がした。

「…ろ!
起きろ、奏!」

頭部に衝撃と佑の声。

「…何」

頭を叩かれる、先程の衝撃はこれだったのかと理解した。

「とりあえず行くぞ!」

手を引っ張られて何処かへ連れて行かれる。
低血圧の体は佑の走るスピードに着いて行けない。

「…何かあった?」

「楼蘭荘の外から男の悲鳴が聞こえた」

もふもふの絨毯を過ぎ、入口へ。
昨日は気付かなかったがあたし達の部屋から入口は近いようだ。

扉を開ける。

…開かない、鍵が掛かっている。

「ちっ!」

珍しく佑が舌打ちする。

慌てて辺りを見回すが鍵はおろか、あるはずの内側からかける鍵も見当たらなかった。


.