この後は、桃と紅と分かれて、アオちゃんと家路に着いた。



これが、今現在。



「どうしたの?さっきからニヤニヤしてさ」
「ん~、なんでもない」
「いかにも有りそうなんだけど」

だって言えないよ。

ボクの事心配してくれて、必死になって探してくれて嬉しかった。

‥‥なんて。
そんな事言ったら、恥ずかし過ぎておかしくなっちゃいそうだし。
‥‥って思うけど、これよりもっと恥ずかしい事をアオちゃんに言っちゃった気がする‥‥。
ボクはこの場を紛らわせようと、アオちゃんの腕にしがみ付いた。

「次は何?」
「‥なんでもない」
「そんな様には見えないけど、ま、いいか」

そう言ってアオちゃんはボクの腕をそっと受け入れてくれた。
そうした矢先、アオちゃんの足が止まる。
釣られてボクも止まって、アオちゃんの視線の先が何だろうと視線を追えば‥‥。

「‥‥ぁ」
「‥黝、何の用?」

アオちゃんとボクの視線の先には、
今、一番会いたくないヒト。

「あっれ~?なんか怖い顔してるよ、お前ら」

センパイは今日の出来事が無かったかの様に、話しかけて来た。
センパイはアオちゃんとボクを交互に見ると、一つ深いため息を付いた。
それが空気の中に完全に混ざると、口を開く。

「やっと、解決したか」
「‥‥何が?」
「『何』って、かいちょーサン、お前らの事だろ?」

え、え?
どういう事?

「おれ、知ってたんだよ。菫が“特別”な存在で、お前が“吸血鬼”だって事」
「‥へ?」

あ、間抜けな声が出ちゃった‥‥。

「知ってたって‥‥」
「だからお前と菫の関係にも、直ぐに気が付いた。菫と部活が同じだってせいもあるだろうけど」
「知っていてあんな事をしたのか」
「まぁまぁ、そんな怒んなって」

センパイはポンポンと、子供をあやす様にアオちゃんの肩を叩いた。
分かっててしたって‥‥、本当に最ッ低‥っ!!

「でもそうでもしないと、お前と菫はあのままだったんじゃないのか?」
「‥何が言いたいわけ?」

センパイの考えてる事って、‥‥全く分かんない。