アオちゃんは中途半端にシャツを脱いで、自分の右の肩と胸の間辺りを指さした。

「‥え?」
「お、本当にしたのか」

アオちゃんが指さしたところには
‥‥薔薇?

「スミレもきっとあるよ、同じ“印”が」
「“印”?」
「それが、“契約”した“印”なんだ。これがあるヤツは、他に手を出せねぇし、出される事もねぇ」
「ふ~ん」

って、あれ?

「何で紅、そんなに詳しいの?」
「私と紅、“契約”しているの」

微笑みながらそう言う桃。
紅はボクに頷いた。
ふ~ん、そっかそっか。

「えええぇぇぇ!?」

ちょ、そんなの初耳ッ!!
いや、知ってる方がおかしいと思うけど、そんなの初耳ッ!!
だけど‥

「あ、だからあの時、驚かなかったんだ」
「うん。ごめんね、黙ってて」
「ううん。いいよそんなの」

それにしても、もう大丈夫なんだよね?
“契約”したから、先輩に狙われる事はないんだよね?
そうアオちゃんに訊くと、大丈夫だよ。と頭を撫でられた。

「まぁ、“特別”な存在のヤツからすりゃぁ、“印”は一種のお守りだな」

紅がそう言う隣で、桃は“印”があるであろう場所を大事そうに撫でた。



一瞬、とても切なそうな顔をして。