ボクはアオちゃんの膝から素早く降りて床に立つと、テーブルのにあるティーカップに手を掛け、中の紅茶を全て一気に飲み干し、割れんばかりの勢いでテーブルの上にそれを置いた。
今の一部始終をみて、アオちゃんは目を丸くして固まっている。

「アオちゃん」

自分でもビックリする程の落ち着いた声。
でも、心の底からフツフツと沸き上がってくる怒りを含んだ声。



「あのねぇッ、さっきからお前の為お前の為って‥、言っとくけどね、センパイからボクが狙われて、危なくなったりしたのは、アオちゃんのせいなんだからね‥ッ!!」



精一杯声を張り上げて叫んでやった。
授業中だった‥‥。と後で気づいたけれど、今はそんな事どうだっていい。

「‥‥っ、あの日、アオちゃんが他の人の血なんか貰ったりしなかったら、こんな事にはならなかったんだからね‥っ!!」

軽く睨みつけて言い捨てる。
痺れを切らせたアオちゃんは、ついに口を開いた。

「ちょっと、それじゃあ僕が全部わ‥」
「悪いよッ!!」

アオちゃんが言おうとした言葉をボクの言葉が掻き消した。
その時、アオちゃんの瞳が大きく揺らぐ。


理由はきっと、ボク。


‥‥あぁ、とうとう、我慢出来なかった。

ボクの目からは悲しみと怒り、そして苦しみの混じった雫がボロボロと流れ出した。
そしてその雫は落ちて、アオちゃんの頬を濡らした。

ゴメンね、アオちゃん。
勝手で。
困らせて。

‥‥でも知らないの。



この気持ちの止め方を。


こんな気持ちになったのは、初めてなんだ。
だからどう対処すればいいかも分からないんだ。


ねぇ、アオちゃんが止めてよ。
それでボクを納得させて・・・・。

そうしたら、この気持ちが落ち着く筈だから。





アオちゃんなら、この位簡単でしょう‥‥?