「アオちゃんが‥‥ボクの血が目当てで、ボクに優しくしてくれたり仲良くしてくれたのでもいい。ただ利用されていただけでもいいから‥‥、だから、ボクを傍にいさせて」

お願いだから。

最後の方の声は掠れて、自分でも聞き取り辛かった。
分かる。
ボクは今、すごく泣きそうになっているって事。
それでも腕の力を一層強くして、必死にアオちゃんにしがみ付いて話した。

「‥‥スミレ、気持ちは嬉しい。でも、僕はお前が僕のせいで弱っていく事が嫌なんだ。だから‥‥それは出来ない事だよ」

優しくも、呆気無く断られる。
そんなアオちゃんの青い目を、ボクは見つめた。

アオちゃん、本当にそう思っているの?
‥‥目は、悲しそうだよ?

「‥‥なら、契約、しよう?」

さっき、確かセンパイが言っていたよね。
『契約』って。

「お前、“契約”ってどういう事か分かってる?」
「‥‥、?、分かんない」

そう返すと、アオちゃんは軽く頭を抱えた。
分からない事しようって言ってどうするの。と。
だって、こうでも言わなきゃアオちゃんはボクの事見てくれないでしょう?

さっきからボクじゃない物ばっかり目に写してる。
ボクガアオちゃんの瞳に映らない。

だから言ってみたの。
そうしてボクは簡単に、アオちゃんから“契約”の事を教わった。



「‥‥という事。だから契約すれば、お前の血しか僕は飲めなくなる。お前は僕にしか血を与えられなくなる」

だからセンパイは『専用』って言っていたんだ。

「じゃあ、“契約”しよう?」
「駄目。ただでさえ美味しいお前の血を僕はたくさん欲しているんだから。‥‥お前が危険だよ」

‥‥何、それ。
そんなの百も承知だよ!!

「それ‥‥ボクの為に言っているの?」
「そう、お前の為だよ」

軽々と返されるボクの質問。



相手の気持ちを無視したモノの、何処が『お前の為』なわけ‥‥ッ!!