入学式から一ヶ月あまりが過ぎた頃。
スミレが此処、生徒会室を訪れる事も日課になっていた。
いつも他愛の無い話をしては笑ったり、スミレは時々怒ったりで。
こんな毎日を繰り返していた。
だけど、そんな毎日に飽きる事も無ければ、嫌いになる事も無かった。
逆に心地良い、好きだと思い始めていた。
無邪気に笑う、その顔を見ていたいと思った。

今まで何人もの女の子と付き合ってきた。
同じ様な他愛の無い話をしたり、手を握り合ったり。
他にもまぁ‥いろいろあったけど、

僕は相手に、直ぐ飽きたんだ。

だからコロコロ相手を変えたり、僕に興味がある相手と遊びで付き合ったり。
これは世に言う、プレイボーイってやつ?

でも、今回は違った。
僕がスミレに興味を持ったんだ。



‥‥って、これじゃあ僕、
スミレに惚れてるみたいじゃない。



なんて思いながら、生徒会室の窓から外を覗いた。
ここからは森の入り口と、その入り口の前にある広場が見えるだけ。
その広場には10人程人がいて、その中にスミレもいた。
そういえば、ダンス部に入部したって言ってたっけ。
スミレは好きだからね、ダンス。
僕の目には一生懸命ダンスを練習している、スミレだけが映った。
スミレは少しヴェーブの掛かった髪を揺らしながら、楽しそうに踊っていた。
‥‥でも、

「なんか、様子が変だな‥‥」

いつもより動きが鈍く、ダルそうに見える。
顔は笑顔だ。
でも、辛そう。
僕はなんとなく、生徒会室を出てその広場の方へ足を向けた。
嫌な予感がしたから。
何か知らないけど、スミレがやけに心配になったから。
階段を駆け下りて広場へ繋がる扉を開こうとした時、目に入った光景。



―――‥スミレが倒れた。