中曽根工業高校

ヒノケンは笑い、ちぃも笑った。

「あと、これ……」

少し恥ずかしそうに女物のハンカチを手渡された。

「なにこれ?」

「贈り物。林くん、池田くんもありがとう!行くね」

ちぃは後ろの二人に一礼し、改札へ向かった。

ヒノケンは、改札を通ったちぃの背中に声をかけた。

「ちぃ、ありがとな。これから……辛いこと、あると思うけど」

「……………」

ちぃは振り返らなかった。

「………もう、あんな事言うなよ!」

"鳴海千紗なんかいらないよ!私、もっと普通がよかった!!"

「…………うん」


ヒノケンは精一杯大きな声で叫んだ。



「自分を、あきらめんなよ!!」


「ありがと……」

ちぃは振り向かず、逃げるように行ってしまった。



「よ!聖也、ふられたらしいじゃん(笑)」

「うるせー(笑)」

後ろからからかい気味に話しかけてきた中村に、聖也はプロレス技をかけた。

「聖也、元気になってよかったね」

「あいつは元気が取り柄だからね」

キノは自分の腕に手をからませているりょうに笑いかけて、りょうはご機嫌で答えた。

「りょう、今度これ乗りたい」

りょうが見せてきたのは、絶叫マシンのパンフだった。

「……………」