中曽根工業高校

「中にはたかが失恋で…とか言う奴もいるけど、そんなの痛みの感じ方なんて人それぞれじゃん」


「俺が言いたいのは……」




「言いたいの、は」






「……………」


岬も、聖也も無言で俯いていた。



「あまり、人を傷つけるような事はするなよ」


そのまま、直人は黙り込んだ。


「私…行くから」


岬は、目に涙を浮かべて立ち上がった。


「おう」


岬は直人に、手を差し出し、直人もその手を握った。



「聖也」



直人の言葉で聖也は顔を少しあげた。

目の前には、見慣れた手が差し出されていた。


「……………」


手が震えてしまい、岬の手に軽くタッチするのが精一杯だった。



(握手もできねーのかよ)


「もう二度と会わないな…」

直人は独り言のように呟いたが、岬は反応した。

「水澤とも?」


「当たり前。俺はお前を許せない」



黙って、岬は出発ゲートへ向かった。


待合所には、聖也と直人が取り残された。

「俺、帰ったほーがいい?」