中曽根工業高校

姉貴?

(直人の姉貴って……確か)

聖也が記憶にたどり着く前に、直人は話し始めた。

「俺の姉貴……小さい頃から食いしん坊だった。好き嫌いとかないから、俺が嫌いなもんが夕飯にでると、よく姉貴が代わりに食べてくれてた」



「まぁ、だから、顔も体系もふっくらしてたんだけど、俺は……別にいいかと思ってた」



「それが、姉貴が高2で、俺が中3ときくらいから、何故か早朝ジョギングするようになった」


「理由聞いたら、自分のいま好きな人のタイプが、シャープな体型の子って噂を聞いたからって」


「メールもらったって喜んだり、バレンタインはチョコあげたりしてた」




「それは……上手くいったの?」



岬の問いに、直人は首を横に振った。

「そいつ、実は姉貴の友達と付き合ってた。細い子と」

放課後の教室。

『お前、そのノート誰の?』

『水澤』

聞かれた男子はノートの内容を自分のノートに書き写していた。

『マジで(笑)』

『いや、こいつのノートめっちゃわかりやすいよ。テスト前とか』

ほら、というようにノートをびらっと見せた。

『でも、水澤お前に絶対気があるよな!お前、彼女いるのに』