中曽根工業高校

その頃、聖也は空港へ向かっていた。

岬の見送りだった。


行って何になる、また傷つくだけじゃないかと何度も考えた。

しかし、それ以上にこのままで終わらせたくないという、執念のような気持ちが強かった。



そんな思いをかけ巡らせながら信号のない道路を横断したら、いきなり左折してきた運転の荒い車にひかれそうになった。

すんでのところでよけたが、車は何事もなかったかのように通り過ぎて行った。



「何あれ……あぶねーな」

無責任な車に腹を立てながらもバス停まで歩き、空港行きのバスに乗った。

一人で空港なんて行くのは初めてだ。

バスにゆられて30分ぐらい経って、バスは大きな空港の前に止まった。

「でかいなー」

岬とは、特に約束はしていない。

一人でこの空港の中を探さなければいけなかった。空港なんて、ただでさえ人が多いのに。

「ウォーリーかよ」

これからの自分の体験する困難を想像して、ため息をつきながら大きな入り口を入ると、意外にもウォーリーはあっさり見つかった。