中曽根工業高校

「…まぁ、平たくいうと元カノ?」

「へえ…」

「アイツ、昔からあんなんでさ。でも、初めて自分から好きになった子がいて…その子とつきあってるときは、浮気しなかったもん」

根っからの浮気症というイメージの聖也にも、本気で好きになった女の子がいるという事を聞いて、伊澄は感心した。

「ふーん…」

「凄くない?!俺らがいくら言っても直らなかった浮気癖がおさまったんだよ!!」

ヒノケンは少し身を乗り出して力説した。

「…じゃ、何で別れ…?」

「何か、いろいろあったみたいよ?」


キーン、コーン…

「ちーす」

チャイムが鳴ったと同時に、残りの3人がジャージ姿で入ってきた。

「あ、お前ら」

「どう?ケガは」

そう言って直人はヒノケンのひざを覗き込んだ。

「へーき」

「聖也は?あいつも一緒だったじゃん」

「ああ、あいつ便所。でも、ちょっと遅いな…」

男子トイレは保健室のすぐ横に設置されている。

「もしかしたら泣いてるかもね」

そう言ってヒノケンは伊澄を見たが、伊澄はどうリアクションしていいかわからなかった。

「へっ何で泣くの?!」

土屋は驚きで声がうらがえっていた。