中曽根工業高校

ヒノケンは急に声のトーンを高くした。

「もうすぐ長谷高とも練習試合あるしさっ!周りとギクシャクしたままいなくなるとか嫌じゃない?せめて、それまで…」

ちぃは泣きながら大きく首を横に振った。

「ちぃ……」

「今の私にそんなこと言ってくれるの…ヒノケンだけだ……」

「……………」

ヒノケンの優しさには何度も救われた。けれど、ちぃはそれ以外の辛い日々を思い出していた。

「もう………関わりたく、ない…」



「ひっく………うぅ~」

「………ごめん」

(何言ってんだ、俺………)

ちぃの泣く姿に、無理を言ってしまった自分を責めた。



少しして、伊澄がカーテンから顔出してきた。

「ご両親……迎えにきたわよ」

「……はい」

ちぃはベッドから起き上がった。

「じゃ…俺、授業もどる…」

ヒノケンは伊澄に軽く頭を下げ、教室に戻っていった。