「奏太、あいつらからやっと開放されたのに、死んじゃったら意味ないよ…」

あたしはもう片方の手で、冷たい奏太の手をとった。

奏太は小さく笑みを浮かばせていた気がした。

とても優しい笑顔だった気がした。

ダダダッ

ガラッ

「…東」

「ハァハァ、奏太は?」

あたしは無言で首を振った。

「そ、そんな…」

「さっきまで、大丈夫だったんだよ。ただ、亡くなったのは、勇次郎さんと大次郎さんと、そのお母さんって言ったら…」

東はその場に崩れおちた。

「俺が殴っていなかったら…。奏太は謝ってたのに、俺は無視して殴り返したからっ」