「奏太ーっ」

お母さんたちに会えるから死んだの?

それとも、ただ力尽きたからなの?

ほんの短い間だったのに、とても悲しくて、辛かった。

「嫌だよっ」

「死亡時刻は…」

医師が死亡時刻を話し始めた。

もう、奏太はいない。

あたしは咄嗟に天使の翼を握り出し、なぜか胸元に移した。

涙を堪えようとするほど、涙が溢れ返る。

そんな時、ふと思った。

もし、あたしがもっと早く気付いていたら。

もし、東が別のところを殴っていたら。

…奏太は助かったかもしれない―…