奏太は救急車に乗せられ、あたしは、親や保護者の代わりに救急車に乗った。

「奏太、奏太っ」

奏太は目をつぶったまま、小声で唸った。

あたしは咄嗟に天使の翼を取り出して、奏太の手に握らせた。

何で握らせたのかは、わからなかった。

……………。

「あーあ。一人になっちまった」

東は暇そうに家に帰った。

「キャーッ」

「あぁっ」

「お母さ…っ」

三つの悲鳴が東の頭に入り込んだ。

「なんだよ。……知るかっ」

そう言いながら、東は声が聞こえた方に向かった。