こんなのもってきて…、あたしったら。

あいつはもう、いないんだから、捨てたっていいのに…。

「これ、ウザい男の子とおそろいで買った天使の翼だよ」

東は、「ふーん」と言い、天使の翼を握った。

「…じゃあさ」

ブンッ

…え。

白くフワフワしたものが、青い空の方に浮いた気がした。

「や、やだ。やめてっ、返して」

グイッ

「捨ててねーよ」

「あ、あっそ」

バッ

あたしは慌てて取り返すと、東を鋭く睨んだ。

「何てことすんのさっ」

「ウザい男と買ったならいらねーだろ、普通」

「関係ない」

東は、あたしの顔を覗き込んだ。

「誰?」

「……天宮聖」

「…知らねぇ」

東は、苦笑しながら鼻で笑った。