――――AM7:00


「お嬢様?起きてください。」

コンコンと扉の音と共に聞こえるのは
馴染みのあるメイドがあたしを起こす声。

まだ眠いんだけど…


「ん…今日は土曜日でしょう?何なのよぉ」


そう呟いて
のそのそとまだ重たい体を起こした。
洗面器に向かうと
扉が開いて、あたしを起こしたメイドがにこやかに入ってきた。


「おはようございます、華乃お嬢様。」


朝っぱらからニコニコなこのメイドは、山中ゆりな。
幼い頃から、あたし付きのメイドをしてくれてる。
ちなみに20歳。


「おはよ…。ゆりな?今日は何かあるの?」


顔を洗いながら、鏡にうつっているゆりなに聞いた。


「松下副社長がいらっしゃって、旦那様がお嬢様をお呼びです。」


「松下副社長……?あぁ…いーくん?」


「はい。」



いーくんとは
松下 勇(マツシタ イサム)
39歳
昔からよく遊んでくれた人で、父さんの部下。
副社長。
今でも話すことがある


「分かったわよ…。着替えたら行くって伝えといてくれる?」