気付いたら俺は、ベッドの上にいた。白くて、冷たいベッドの上に。

「痛っ…」
頭に激痛が走った。なんか、金づちで殴られたみたいな…。


そうか…。俺、事故ったんや。そういえば…奈美は…大丈夫か…?

あの時…部活帰りに、奈美が車に引かれそうになって、俺が助けて…んで今このベッドにいるんか。

────…ピッーーー!!!
『えっ?』

「奈美っ…!!」

キキッーーーーーー!!!ドンッ




「いってぇ…。」
『え…?』
「奈美…。」
『嫌…純ちゃん…嫌…いやあぁぁ!』

その時、気をうしなって…。寝てた?

俺が考えてたら、病室のドアが開き、奈美らしき人物が入ってきた。
こっちへ近付いてくる。
あ、やっぱ奈美や。その姿は怪我をしているようには見えんかった。
良かった…無事やったんや。

すると、奈美は驚いた顔をした後、泣き顔になった。
『純ちゃんっ! 起きたんやっ!! もう…心配したんやから…あたしなんか助けるから…。でも、ありがと…。』

奈美が泣いている。泣くな。泣くなよ。ほら、ブスになんぞ。
声に出そうとしたけど、喉が痛くて、話せへん。
代わりに笑ってみせると、奈美は涙を流したまま笑顔になった。

『純ちゃん、二週間も寝たまま、起きんかってんで…。』