「大神くん、明日から学校来なよ!大神くんが来たらあたし癒やされる」
「なんで癒されんだよ。…それに、俺怖がられてんだろ?」
小さく自嘲気味に笑いながら“慣れてるからいいけど”と呟く大神くん。なんとなく寂しそうに見えるのは気のせいじゃないと思うんだ。
あたしの予想が当たっているなら、彼が高校を受験した理由は…
「期待は、してるんだよね?」
「!」
「高校生活で何か変わるかもって期待してるけど、今まで寂しい思いした分不安なんだ?」
「…っ…決め付けんじゃねーよ」
そうは言うけど否定の言葉は返って来ないし、これ以上言い返しても来ない。何より本人の顔が“図星だ”って言ってるし。
「新しい環境になるのに期待と不安が混じるのは仕方ないよ。あとは雑草魂で切り抜ける!」
「…雑草魂?」
「そう!踏まれようが詰られようがネバーギブアップよ!」
「単純思考だな、お前」
「ちょっと。クラスメートの名前くらい覚えなさいよ」
「まだ名乗られてねーよ」
あたし達はそのまま遅くまで他愛のない話ばかりして笑ってた。猿岡やミケと放課後の教室に残って話すみたいに。
