あたし達は公園に逃げ込んでドーム状の遊具の物陰に隠れた。辺りはもう真っ暗で、頼りになるのは敷地内にある外灯だけ。
幸い、追っ手は隠れているあたし達に気付かずに通り過ぎてくれた。
「…行ったよね?」
「…行ったな」
「はー…疲れたぁ。体育でも全力で走ったことないのに」
「どうかと思うぜ、それも」
緊張が途切れたあたしは脱力しながら息を切らしつつ話しかける。未だに腕を掴まれていることは特に気にならないから敢えてツッコまないけど、そんなことより…
「体育どころか学校にすら来ない人に言われたくないっていうか…」
「…!お前…」
漸くあたしが着ている制服に気が付いたらしい。一瞬驚いた表情を見せた彼はバツが悪そうに俯く。
「…同じ学校の奴かよ」
「ついでにクラスもね。毎日あたしが出席とってるのに返事が無いのはアンタだけよ」
「…普通、出席とんのは担任だろ」
「普通の担任がいないのよ」
あたしの発言に怪訝そうに眉を寄せて首を傾げる姿に、あたしは皆が怖がるほどの恐怖を感じられない。ホントに皆が思ってるような不良なんだろうか。
