「同棲してんの?」
「謝れ、俺に」
「あたしにも謝ってよ」
猿岡のおバカ発言は置いておこう。せっかくカラオケに来たんだし歌わないと損だよね。
選曲するためにリモコンのパネルを押していると再び猿岡が口を開いた。
「さっきのダチの件だけどさぁ。別に慌てて作んなくていいんじゃねぇ?」
「なんでよ」
「だって俺ら居るじゃん?」
「…へっ?」
思いもしなかった言葉に間抜けな声を上げてしまった。声どころかかなりの間抜け面を見せていると思う。猿岡はニッと歯を見せて笑顔を向けているけど、教室に入ってすぐに見せたあの嫌な笑顔じゃなかった。
「俺とミケがダチの第1号だからな。俺らが居る限りお前があのクラスで孤立することはねーよ…つーか俺がさせねぇ」
「…猿岡…」
なんか物凄く恥ずかしい台詞を言われてる気がする。この気持ちは“恥”というより“照れ”だけど。
