「とにかく帰るから。じゃあね、すんごい嫌だけどまた明日!」
「んだよ~?付き合い悪いなぁ」
つまらなそうに唇を尖らせる猿岡に背を向けて鞄片手に扉へ向かおうと立ち上がったその時、ミケの声が聞こえた。
「ド下手だから歌いたくないだけだろ」
んなこと言われた日には行くしかないじゃないですか。あたし、挑発をスルー出来るほど大人じゃないんで。何分今日高校生になったばかりですから。
───というわけで、あたし達は学校から徒歩15分程度の場所にあるカラオケボックスに来ています。
ええ、完全にミケの挑発に乗せられてしまいましたね。あんなにあたしが来るの嫌がってたくせにさ。
実はあたしのこと好きなんじゃなかろうか。
なんてバカなこと言ったら何されるか解らないから止めておこう。
