「なに?それ。」

授業中、席が隣の酒木が言ってきた。
私は不意に聞かれた質問に戸惑う事無く会心の笑みでその質問に答えた。
『試してみる?』
酒木は、少し戸惑ったような顔をしたが、すぐにこっちを向き直し、ニコッと笑みを返した。
酒木が微笑みながら期待した目で私のことを見ている時、丁度先生は黒板に向かって字を書いていた。

《ラッキーな日だな。さすが占い一位の日だ。》
そう思いながら私は黒光りする物体を横に掲げた。

カチャッ。

金属と金属が軽く擦れ合うような音で、黒板に向かっていた先生がこっちを向いた。
それと同時に近くにいる何人かの生徒がこっちを向き、その黒い物体を見つめた。

期待に満ちた目で見つめる生徒。「何それ。」と疑問の混じった目で見つめる生徒。人の顔に銃を向けている事に脅える生徒。様々な生徒が私と銃に視線を向けていた。

その中私は躊躇することなく右手の人差し指に包まれている引き金を引いた。