今の僕の気持ち・・・

会社だって、恋だって、家族だって大切だし。
もちろん、目の前にいる自分だって大切。

「なんかさ、お前は弱い人間だって自分のこと決めつけ過ぎだぞ」

もう一人の僕がこういった。

「心の中でお前の葛藤を俺はいつも見てるし感じてる。弱い奴は葛藤しないし、なんたって弱い奴は逃げないぞ。逃げた後の処理に困るからな。弱い人間はただ自分まで押し殺して生きていくんだ」

僕が本当に言いたかったことを、さらりと言ってのけた。
心の僕、なんかいい奴かも。

僕は本音を話してみた。もちろん心の僕に向かって話すのだから、否定は絶対にしない。

「僕だっていつも自分に自信があるわけじゃない。泣きたい時だってあるし、どうしていいかわからなくて身動きがとれない時のほうが多い。会社だって休まないで行ければどんなにいいかって思う。部長の顔を見るのは嫌だけど、仕事って学生にはない達成感とかあって、むちゃくちゃ気持ちいいっていう瞬間だってある。お金も欲しいしさ。でも、なんかこのまま大人になってくの嫌なんだよ。時間に拘束されて、自分の時間だってないし。第一、金じゃ買えないものがたくさんあるって言ってる割に、僕らには仕事をさせて僕らの大切な時間を買い上げてるじゃないか!いつも疑問に思ったまま生活するのは辛いんだよ。毎日眠れなくて、でも朝は来ちゃうし、僕にだって夢があるんだ!僕だって幸せになりたいんだ!!だけど・・・みんな話も聞いてくれなくて、前ばかり見てるだけで、取り残されていく僕に見向きもしないでさ・・・ううっ」

息が切れるほどしゃべったのは久しぶりだった。
僕はいつの間にか泣いていた。
嗚咽もあげていた。
ただロウソクの炎が目の前にあるだけで、いつの間にかもう一人の僕はいなくなっていた。天井を見上げて、僕の頬には涙が伝っていく・・・
なんだよ、いつの間にいなくなったんだよ、あいつ逃げたのか。
僕を一人残してどこに行ったんだよ。

天井はいつもの僕の部屋の天井に戻っていて、満天の星空は消えてなくなっていた。