仁志さんは『また後でな』と言ってネオンの中に吸い込まれるように消えて行った。
その後ろ姿をあたしは見つめて立ち尽くしていて、自分でも理解できない『たぎり』を感じていた。
五月蝿くて、ただ眩しいだけだと思っていた色町のネオンの一つ一つが、薔薇の花びらのように美しく思えるという事実が『たぎり』の何よりの証拠だろう。
「…。」
一呼吸おいて、あたしは店に通じる路地を通り、雑居ビルの階段を上がっていく。
自分の履いているピンヒールが、カツカツと心地のいい音を奏でていて、ビルの中にこだまする。
その後ろ姿をあたしは見つめて立ち尽くしていて、自分でも理解できない『たぎり』を感じていた。
五月蝿くて、ただ眩しいだけだと思っていた色町のネオンの一つ一つが、薔薇の花びらのように美しく思えるという事実が『たぎり』の何よりの証拠だろう。
「…。」
一呼吸おいて、あたしは店に通じる路地を通り、雑居ビルの階段を上がっていく。
自分の履いているピンヒールが、カツカツと心地のいい音を奏でていて、ビルの中にこだまする。



