あたしの廓-花魁道中-

その日から女将は頭角を表す。

意思の強さと、曲がらない心が全面に出ていたそうだ。

一人、また一人、女将の客数は増えていき、気付いた時には色町で女将の存在を知らない人はいなくなっていた。

「女将が色町の大通りを歩く姿は、花魁道中さながらだったらしい」

仁志さんの話に本気でのめり込んでいたあたしの目には、色町のネオンが眩しく感じた。

それから数年後、当時の女将が不慮の事故で他界し、入店からその日まで女将の片腕として働いてきた女将が次の女将として一本立ちした。