あたしの廓-花魁道中-

本当なら喜ぶべき事象に、女将は打ちくだかされそうになった。

産むのか、堕ろすのか。

相談できる相手など、いるはずがなかった。

考える時間も、そうあるはずもなく…激しい悪阻に悩まされた。

「なんで…なんで私…」

耳元で女将の当時の嗚咽が聞こえそうだった。

時間は平等に過ぎゆき、お腹の子供は何の決断も貰えないまま四ヶ月になっていた。

「どうしますか?堕ろすなら、これが最後ですよ」

医師は告げた。

「…先生、私、この子供、産みますよってに…私一人です、苦労かけるけど大事にしたいと思います」