あたしの廓-花魁道中-

そんな若くて小さな女将の希望が打ち破られる日は、いとも簡単にやってくる。

浮気相手が女将の所にやってきたのだ。

…臨月の大きなお腹を抱えて、勝ち誇ったような微笑を浮かべて…

必要最低限の荷物をまとめて家を飛び出した。

今までの幸せな時間など、脆く崩れてしまったこの時、女将は先の希望など何もないと思っていた。

片道の切符を買って、弟と妹にだけ行き先を告げ、今の街へやって来た。

住まいも落ち着き、仕事も決まり新しい生活が始まる。