「凜って言ったら、この色。この口紅やなきゃね…」

そう言ってえりなはあたしの唇に、真っ赤な口紅を塗った。

「あ-だこ-だいいながら凜は、真っ赤な口紅つけると何でも出来るの。あたし知ってるんやから!ほら!行くよ!」

えりなに急かされるまま、あたしは家を出た。

こんなに派手な姿で外に出る…有り得ない抵抗感があたしを襲う。

「えりな、あたし大丈夫かな?」
「大丈夫!」

口紅を信じろ、とえりなは言った。

そんな目茶苦茶な話!と言った感じだが、お母さんからも応援メールは入ってくるし、もう後には引けない。