こんなに気合い入れて洒落た姿を見るのは、いつ振りだっただろうか?

仕事と育児に追われ、自分にかける時間などとうに失って…友達が綺麗に着飾るのを笑って見ているだけだった。

「凜はベース最高にええんやから!勿体ないよ、宝の持ち腐れやね。」

腕組みをしながら、えりなが頷きあたしを足元から見直していく。

「そんな見るなさ…恥ずかしいやろ。」
「違う…何か足りないの…あっ!前言撤回!一つ足りないのがある」

そう言うと化粧箱から口紅を取り出す。