青春の名の元に、やれる事は全てやりきったつもりだったが…水商売だけは手を出せなかった。

客と何を話すとか、服は、化粧は、髪型は…疑問だらけの状態である。

引き受けた事を今更ながら後悔する。

『じゃ、夕方家行くわ♪じゃね♪』

それだけ言って、一方的にえりなは電話を切っていった。

あたしはと言うと、会社の喫煙所で白衣姿で煙草をくわえて、片手に携帯を握りしめたまま呆然としている。

季節は真夏、蝉の鳴き声が辺り一面に渦をなしていた。