仕方ない。

これが自分の母親と自分の姿なんだから…言い聞かせる虚しさだけが部屋に残る。

どうしようもない。

冷たくあしらう以外に何もできないあたし自身を作り上げたのは、あたしだから。

後々よく考えると、この時からあたしの廓での生活は始まっていたのかも知れない。

現代に存在する廓はこの場所で、あちらこちらに潜れない大門がある。

足抜けすれば痛い目に合う。

淀んだ空気と、やり場のない悲しさだけが異様な香を放っていた。