ええねん



 「ほんなら、約束な」


 オレがそうあらためて言うとリョウはまた顔を赤くする。

 露骨に言いすぎか?

 これでも相当気を使ってるんやけどな。


 「リョウ?」


 「あ、うん、えっと、はい」


 「あかんかったらええねんで?」


 「ううん、大丈夫」


 リョウは首を振って否定した。


 「緊張、するね」


 「そうか?」


 「いつも、考えたらいつも一緒にいるんだけど、でも教室だったり部活だったり、必ずいつも誰かがいたから」


 「そうやな、合宿も結局時間は一緒でも邪魔ばっかやしな」


 「ふたりでずっと一緒って、はじめてになるんだね」


 「そうやな」


 「今から緊張してきた」


 「どんだけ先のことやと思うてんねん」



 オレはそう言って笑う。

 同時に、そのあまりに純粋なリョウに救われる。




 きっともう。

 手放すことはできないんだ。

 そのためだったら。

 オレはなんだってできるんや。 



 
 「さっき大丈夫言うてたやんか」


 「そっか、そうだね」


 「大丈夫やって、心配いらん。

  オレにまかせといたらそれでええねん」


 コクンとリョウはうなずく。


 「あのね」


 「ん?」


 「響くんの言う『ええねん』って、不思議」


 「なにが?」


 「それ聞くたびに、いいんだなって、大丈夫っていつも思ってた」


 「またそんなかわいらしいこと言うて」



 オレは我慢できひんようになって腰を上げるとそのまま、リョウにキスをする。



 それやったら何万回でも言うたるわ



 そう耳元でささやいてもう一度、少しだけ深いキスをした。