「意外と、いさぎええんやな」
「そうかな」
「お嬢さんやし、半年とか一年とか、ずっとかかるんかと思っとった」
「お嬢さんだなんて」
いやいや。
ケンソンなんてイヤミですから。
あんた、この部屋。
この家具。
なんて言うの。
どう見てもドラマに出てくるお嬢さんの部屋やから。
そんでもって。
うちはどう見てもドラマに出てくる普通より若干貧乏な家のままやから。
ため息をつく。
「リョウはいい意味でお嬢さんやで?
オレなんかとは、家柄が違うねん。
けど、だからって卑屈にはならへん。
なんでかわかるか?」
「ううん」
「オレは今のままじゃ終わらへん男やから。
これからごっつええ成績あげて、
めっちゃ稼ぐ男になんねん。
万が一怪我でもして選手でいられへんようになっても、
つぶしがきかんような人生送ってへんわ。
お前のこと守るくらいはできる男になるし、
せやからなんぼ貧乏でも卑屈にはならへんで?」


