「そういう日がきたら、全部響くんにまかせようと思ってた」
オレはしばらくぼうぜんとしていた。
同時に耳を疑っていた。
オレにまかせようと思ってた?
「それがいいんだって。
それが一番だって。
それで間違いないって。
ときどき、ね。
キス、したりしながら、そう思ってた」
「リョウ」
「だから、響くんが考えてる通りでいいです。
全部。
全部おまかせします」
「おまかせって」
「それじゃ、ダメ?」
だから、その上目づかいはクルっていうのに。
「ダメじゃないけど、本当にそれでいいのか?
お前はそれで後悔しない?」
「後悔、するの?」
「そんなん、させへんけど」
「じゃあ、いいよ、ね?」
オレって。
完全にこっちがリードしてるって。
完璧に上手やと思ってたけどひょっとして。
こいつの手のひらの上で踊ってただけなんかな。
なんやら不安になってきたわ。


