霧兎が髪を指でいじりながら口を開いた。
「……なるほどねぇ、事情は分かったよ」
基地に戻って直ぐに、レクスはランブル荒野での事を霧兎に報告した。
…シンディウスにも、特殊型機械獣がいる事。
…シンディウス軍の精鋭が集められた“王宮直属軍”がいる事。
…ケルベロスを倒すために造られた特殊型フェンリルと戦った事。
……そして、そのフェンリルに負けた事。
レクスの報告を機械獣整備士長であるジアンスも、霧兎と共に聞いていた。
その話に興味を持ったのか、ジアンスは顎をさすり唸った。
「ふむ……きゃつらも特殊型を造り始めておったか…」
「……博士」
「なんじゃ?レクス」
「……ケルベロスは、大丈夫…なのか?」
レクスの問いに、少しの間をおいてジアンスが応えた。
「…前足をやられただけじゃからな。なに、明後日には元通りじゃよ……ヒヒヒ」
「……そう、か…」
レクスはそう呟くと、霧兎に向き直った。
「団長…」
「ん?なにかなぁ〜レクス」
「……俺は、俺達は強く…なれますか?」
レクスがうつむきながら口を開いた。
思いがけないレクスの言葉に霧兎が目を点にする。
珍しくジアンスも口をぽかん、と開けている。


