独眼狼ーワンアイウルフー




『今回はここまで…か』


ゼノスはそう呟くと、レクス達から背を向け歩きだした。

思わずケビィンが叫ぶ。


『てめぇ、逃げんのかよ!!』
『そうだ。……だが俺がこの場から離れて助かるのはどちらか、分かっているよな?レクセウス』
「く……っ」


レクスが歯を食いしばった。


『くそっ!!待ちやが…』
「…行くな、ケビィンさん!!」


フェンリルの後を追おうとしたケビィンをレクスが声を張る。

その気迫にケビィンは思わず、追うの止めた。


「……あいつが退いて、助かったのは…俺達の方なんだ」


レクスが低く呟いた。


「今の俺じゃ……あいつには、勝てない…」
『レクスさん……?』


ルイが心配し声をかけるが、レクスは応えない。

レクスの握った拳には、ぎりりと力が篭っていた。

ケビィンとルイがレクスの様子がおかしい事に気づき、何回か声をかけた。

……しかしレクスは、イーグルに運ばれ基地に着くまで何も言わずに、ただ拳を握り続けた。