独眼狼ーワンアイウルフー



『…ちっ』


フェンリルが、ケルベロスから数歩ほど飛び退く。

その直後にドスン、と地面に何かがめり込む音が響く。


ケルベロスの側…先ほどまでフェンリルが居た辺りに、岩の塊が降って来たのだ。

アーマードベアがケルベロスの元に駆け込んだ。

ケビィンが声を張る。


『これ以上はやらせねぇぞ!!』


アーマードベアは手に抱えた岩の塊を、思いっきりフェンリルに向かって投げつける。

これにはフェンリルも避ける事しか出来ず、ケルベロスとの距離がどんどん離れていった。

その様子を、黙って見る事しか出来ないケルベロスの上空にイーグルが飛んで来た。


『レクスさんっ!!』
「…ルイ」


レクスの声を聞き、ルイはひとまず安堵する。


『…大丈夫ですか?』
「……俺はな。それよりもケビィンの援護に回ってやってくれ…」
『はい!!』



イーグルがアーマードベアの脇にまわり、いつでも援護出来る体勢にはいる。

二対一の状況でも動じずにいたフェンリルが口を開いた。


『……ゼノス。どうも動きが悪くなった気がする』
『…やはりお前もそう思ったか、フェンリル』