走って行った3人の背を見送ると、霧兎はため息を吐いた。


「お疲れ…ですか?」


イルムが恐る恐る聞くと霧兎が手をひらひらさせ、大丈夫だよ〜…と意思表示をする。


「大丈夫だよイルム君」


にへらと笑い、そう応えるとイルムは安心したように微笑み自分の仕事に戻った。

霧兎は机の上に放り投げた資料をもう一度拾い、目を通した。


「……さて、彼らの活躍に期待しますか…」


霧兎の呟いた言葉は誰の耳にも届かなかった……。




───────────



レクス、コハク、ルイの3人がラシェード平野に着いた頃には戦況がまた悪化していた。

レクスが舌打ちを漏らす。


「…数が、減ったな」
『確認出来るだけで、こっちが5体……シンディウスが…』


コハクが数えていると、ルイがそれよりも早く応えた。


『20体です。さっき見た映像ではジーンデーン軍が8体、シンディウス軍が22体でした』
『……よく数えてたね、ルイ』
『必要な事だと思ったので覚えました』


事もなげに、きっぱり言ってのけるルイ。