「え…?」


予想だにしない少年の言葉を、コハクは思わず聞き返す。


「…あんたらの、軍に入る……」


少年はシーツをきつく握りしめた。


「……シンディウスの奴らを、倒す…っ」


そう呟いた少年を見て、コハクは背筋が粟立った。

先程まで感情がなかった少年の顔。

しかし今は……怒りと憎しみに満ちていた。


この時コハクは少年を“怖い”と感じた。

こうも負の感情を露にする人を初めて見たから…。

コハクの少し前に立つ、ケビィンの肩が微かに震えている。


ケビィンも、あの少年に少なからず恐怖を感じたのだろう。