独眼狼ーワンアイウルフー




「………、軍人がなんの用だ…」


少年がケビィンを睨みつけたまま呟いた。

ケビィンはそれに動じる事なく言葉を続けた。


「お前、どこの生まれだ?」
「…………ウルティナ」


少年が言ったのは、ジーンデーン共和国の街の名だった。

ケビィンは内心、胸をなでおろした。

もし少年がシンディウス王国の人間ならどうするか、対処を考えていなかったからである。


「そうか、ウルティナか!!あー、とりあえず安心した…」
「………何が、言いたい…」


ケビィンの真意が掴めない少年は苛立ちのためか、眉に皺をよせている。

ケビィンがコホンッと咳払いし、少年に言った。


「俺達のいる第一軍師団に入ってほしい」


回りくどい説明もなく、淡々と述べたケビィンにコハクは口をポカンと開け呆然とした。

しかし、ほんの数秒で正気に戻ったコハクはケビィンに耳打ちをした。


「ちょっとケビィンさん!!ちゃんと説明しなきゃ……」
「だって面倒だろ」
「面倒って…」


ケビィンとコハクがひそひそ話す中、少年が口を開いた。


「……入る」