独眼狼ーワンアイウルフー




「……それでも、こんなのって………」


コハクが少年に近寄ろうと足を進めようとした、その時。


「…………誰だ……」


コハクが足を止めた。

ベットの上で眠っていたはずの少年が、上半身をお越しケビィンとコハクを睨みつけていた。


「…………っ」


コハクは息を飲んだ。

少年の目はどこか虚ろで、感情を感じさせない声も、少年が放つ気迫も……全てが今までコハクが感じた事がないものだった。

ケビィンが少年のベットに歩み寄った。


「俺はジーンデーン共和国、第一軍師団所属ケビィン・デザイスだ。こっちは天王寺(てんのうじ)琥珀」


あくまで冷静に名を名乗るケビィン。

コハクが今まともに声を出せないのを知ってか知らずか、コハクの名前も一緒に言った。